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東京都新宿区 産科事故を扱う谷直樹法律事務所

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羊水量の異常

羊水量の異常

羊水量の異常の出現時期や程度から、その後の妊娠管理や方針を決定するため、超音波断層法で羊水量を計測した場合は、診療録に記載することが必要です。
妊娠経過中に羊水量の異常を認めた場合、推定胎児体重の測定、胎児形態異常の有無、中大脳動脈・臍帯動脈の血流計測、胎児心拍数陣痛図などにより胎児のwell-beingを評価することが勧められています。
高次医療機関と連携が必要な場合もあります。

1.羊水過多

◆「産科婦人科診療ガイドライン−産科編2023」

CQ306-1(162頁)  羊水過多の診断と管理は?
「1.子宮底長が過大であれば羊水過多を疑い,超音波断層法により羊水ポケット,最大羊水深度,羊水インデックス等を計測して評価する.(B)」
「2.羊水過多を認めたら,その原因検索に努める.(A)」
「3.胎動等,(胎児の)健常性(well-being)を評価する.(B)」

◆ 第11回 産科医療補償制度 再発防止に関する報告書
羊水過多を認めた事例の中には、胎児形態異常によるものの他に中枢神経の細胞が不可逆的な障害を受けたことにより、嚥下障害を生じたと考えられる事例がある。このような事例においては、正期産児であってもNICUでの管理が必要となる場合があることから、高次医療機関と連携して分娩の管理を行うことが勧められる。

2. 羊水過少

◆ 産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020
Q306-2(164頁) 羊水過少の診断と管理は?
「1.子宮底長が過小であれば羊水過少を疑い,超音波断層法により羊水ポケット,最大羊水深度,羊水インデックス等を計測して評価する.(B)」
「2.妊娠中期に羊水過少を認めたら,胎児尿路系異常や前期破水の有無等,原因検索に努める.(A)」
「3.胎動等,(胎児の)健常性(well-being)を評価する.(B)」

◆ 第11回 産科医療補償制度 再発防止に関する報告書
胎児は低酸素状態におかれると、血流再分配が生じる。FGR児では、血流再分配により腎血流量が減少した結果として羊水過少を認めることがあるため、FGR児に羊水過少を認めた場合は、胎児の循環動態の悪化が示唆される。また、胎児心拍数陣痛図で胎児の低酸素状態を示唆する所見を認める事例が多い傾向から、羊水過少を認めた場合は、胎児は低酸素状態である可能性が考えられる。したがって、分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングでは、胎児の低酸素状態を示唆する所見の有無に注意が必要である。

3. 人工羊水注入

妊娠中の人工羊水注入は、 超音波診断精度を向上させる可能性はありますが、羊水過少児に対する中・長期の予後改善効果を示す高いエビデンスはあえいません。
分娩中の人工羊水注入は、胎児心拍数パターン異常、児の酸血症を改善する可能性がありますが、とくに胎便吸引症候群の発症予防目的で経腟的に行う場合,出生児に対する中・長期の予後改善効果を示す高いエビデンスは認めません。
頻度は低く、直接的な因果関係は証明されていませんが、重篤な母体合併症(羊水塞栓,肺水腫)が報告されています。

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