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東京都新宿区 産科事故を扱う谷直樹法律事務所

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帝王切開後の管理

帝王切開後の管理

ERAF(Enhanced Recovery After Surgery 術後回復力強化)は、帝王切開術後にも求められます。そのため、バランスのとれた術後疼痛管理、早期離床、早期退院が求められています。
妊婦は静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高いのですが、出産後もVTEのリスクはあります。リスクに応じて、分娩後抗凝固療法(未分画ヘパリンまたは低分子量ヘパリン)、間欠的空気圧迫法が、検討、実施されます。間欠的空気圧迫法については、@使用前に DVT を強く疑う場合は行わず、下肢静脈エコーなどを行う(B)、A手術に際しては手術中、できれば執刀開始前より開始する(C)、B手術後は歩行開始以降に中止する(B)とされています。
また、帝王切開後のVTE予防のためにも早期離床がうながされます。


「産婦人科診療ガイドライン 産科編 2023」
CQ004(13頁) 分娩後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防は?
「1.脱水の回避および改善を図り,早期離床を勧めるべ.(B)」
「5.分娩後の予防的抗凝固療法および間欠的空気圧迫法(あるいは弾性ストッキング着用)については表1に従う.
1)第1群の女性に対して,「分娩後抗凝固療法」あるいは「分娩後凝固療法と間欠的空気圧迫法との併用」を行う.(B)
2)第2群の女性に対して,「分娩後抗凝固療法」あるいは「間欠的空気圧迫法」を行う.(B)」
「6..抗凝固療法は未分画へパリン,低分子量ヘパリンのいずれかを用いる.ワルファリンヘの変更を行う場合,ワルファリンの作用効果が得られるまではヘパリンを併用する.(B)」
「7.未分画ヘパリンは分娩後6〜12時間後(止血確認後は直後からでも可)から開始し,5,000単位を1日2回皮下注する(低分子量ヘパリンに関しては解説参照).(B)」
「8.ヘパリン投与時の血液検査や硬膜外麻酔/脊椎麻酔の刺入操作/カテーテル抜去のタイミングなどに関してはCQ004-1を参照する.(B)」
「9.授乳中の女性にワルファリン,未分画ヘパリンの投与および低分子量ヘパリンを行う場合,授乳中止の必要はないと認識するべ.(A)」
「10.間欠的空気圧迫法については,以下に留意する.
1)使用前にDVTを強く疑う場合は行わす,下肢静脈超音波検査などを行う.(B)
2)(中略)
3)手術後は歩行開始以降に中止する.(B)
4)経腟分娩後では歩行困難な期間のみ使用する.(B)」

なお、帝王切開後も出血が続いている場合は危機的産科出血のガイドラインにそった取扱が求められます。

○ 2008年に静岡市の病院で帝王切開手術を受けた妊婦が術後に死亡した事案で東京高裁平成28年5月26日判決は約7490万円の支払いを命じました。
○ 2015年に東京都内のクリニックで緊急帝王切開手術を受けた妊婦が術後に死亡した事案で、東京高裁令和3年11月の判決は羊水塞栓症は否定できないとし、因果関係を相当程度とし、440万円の支払いを命じました。

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