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東京都新宿区 産科事故を扱う谷直樹法律事務所

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双胎等の多胎妊娠

双胎等の多胎妊娠

弁護士谷直樹は、双胎妊娠の事件を担当し、判決で解決したことがあります。

1 頻度等

双胎妊娠は全妊娠の約1%です。
妊婦の年齢があがると多胎妊娠の率もあがり、30歳以上では多胎妊娠は約2%です。
双胎等の多胎妊娠はハイリスクです。




2 「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2023」
CQ702 一絨毛膜双胎の取り扱いは?
CQ703 双胎間輸血症候群(TTTS), 一児発育不全(selective FGR),twin anemia polycythemia sequence(TAPS),無心体双胎を疑う所見と対応は?
CQ704 双胎一児死亡時の対応は?
CQ705 双胎診断後の基本的な管理・分娩の方法は?

CQ705の解説に、「双胎妊娠の経腟分娩に際しては,分娩前に頭位・頭位と診断されていても第一子分娩後に第二子の12%が頭位以外となっていたとの報告がある.したがって,分娩室に超音波断層装置を準備することが推奨される.」との記載があります。


3 産科医療補償制度 再発防止委員会からの提言(多胎について)
(1)妊娠管理
ア.多胎妊娠の管理方法(超音波断層法の実施頻度、高次医療機関への紹介・搬送の基準等)について、「産婦人科診療ガイドライン−産科編2014」を参照し、各施設の実情に応じた管理指針を作成することが望まれる。
イ.「産婦人科診療ガイドライン−産科編2014」に準じ、妊娠10週頃までに膜性診断を行う。
ウ.少なくとも2週毎の超音波断層法を行い、胎児発育、羊水量について観察を行う。また、その結果得られた超音波断層法所見については客観的な数値、指標を診療録に記載する。
エ.臍帯付着部位の位置等を参考にし、妊娠期間中、両児の区別が常に一貫して評価できるように診療することが望まれる。
(2)分娩管理
ア.双胎経腟分娩を試行する場合は、先進児娩出後の後続児経腟分娩中に臍帯因子、子宮収縮による絨毛間腔の血流低下、胎盤剥離などで胎児が急速に低酸素状態に陥りやすいことを妊産婦・家族に充分に説明し、同意を得たうえで実施する。
イ.双胎経腟分娩を試行する場合は、後続児の予後が悪いこと、子宮収縮不全による微弱陣痛により単胎に比べて分娩所要時間が延長する可能性が高いことを認識し、各施設に応じた実施基準の作成、および以下の事項を実施する。
・双胎の経腟分娩における先進児への子宮底圧迫法の実施は、胎盤循環不全により後続児の状態が悪化する可能性があることから実施しない。
・両児の胎児心拍数が悪化した状況、または先進児の分娩中に後続児の胎児心拍数が悪化し、先進児の先進部が高い位置にある等で、器械分娩で速やかな児娩出が図れない場合は緊急帝王切開術を検討する。
・多胎の分娩時には連続的に分娩監視装置を装着する。胎児心拍数が正しく記録できない場合はドプラや超音波断層法での確認を行う。特に、第1子娩出後の第U児の胎児心拍数聴取は母体心拍との鑑別を充分に行う。
・先進児娩出後に後続児の胎児心拍数が悪化した場合、最も早く児を娩出させられる方法(外回転、内回転、吸引分娩、鉗子分娩、緊急帝王切開術)を各施設の状況において検討する。
・分娩機関の施設開設者は、多胎の経腟分娩実施にあたって、いつでも緊急帝王切開術に切り替えられる体制を整えることが望まれる。場合によっては、@手術室で経腟分娩を行う、A分娩室で緊急帝王切開術を行うなどの準備を考慮することが望まれる。
ウ.全ての産科医療関係者は、胎児心拍数陣痛図の判読能力を高めるよう各施設における院内の勉強会への参加や院外の講習会への参加を行う。
エ.多胎妊娠では、膜性診断の確定、および吻合血管の有無、占有面積、絨毛膜羊膜炎の有無、卵膜の脆弱性等について検証するために、胎盤病理組織学検査を行うことが望まれる。
(3)新生児管理
 多胎分娩は母子ともにハイリスクであることから、「新生児蘇生法講習会」修了認定を受けた医療関係者が複数立ち会うことが望まれる。特に、双胎一児死亡後の分娩の際は出生児の循環血液量不足に対応できる新生児科医等の立ち会いが望まれる。

4 裁判例

大阪高裁令和 2 年12月17日判決 請求認容
福井地裁令和 2 年 3 月 4日判決  請求認容
仙台地裁平成24年7月19日判決  請求棄却
東京地裁平成18年5月25日判決  請求棄却
東京地裁平成14年12月25日判決  請求棄却
新潟地裁平成14年7月17日判決   請求認容
名古屋地裁平成12年7月3日判決  請求認容

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