子宮内感染
絨毛膜羊膜炎は、狭義では、病理組織的に、絨毛膜and/or羊膜炎に感染が認められるものをいいます。分娩後に病理組織を調べて分かるため、分娩管理に用いることはできません。
臨床的な絨毛膜羊膜炎の診断基準は複数提案されています。臨床的な絨毛膜羊膜炎は、広義では、絨毛膜、羊膜炎、その他に感染が認められるものをいいます。最近では、子宮内感染、羊水内感染という用語のほうが用いられるようになってきています。
子宮内、羊水内に感染が広がる前に妊娠を終了させることにより、予後不良の児を減らすことが試みられていますが、分娩時期についてのコンセンサスは未だありません。
◆「産婦人科診療ガイドライン−産科編 2023」
CQ303 前期破水の取り扱いは?
「4.妊娠 34 週未満では,原則としてハイリスク新生児管理可能施設での管理,あるいはこうした施設と連携した管理を行う.(B)」
「6.妊娠 24 週未満であれば臨床的絨毛膜羊膜炎の有無・推定体重・妊娠週数,施設の低出生体重児対応能力を考慮して小児科医と相談し治療方針を決める.(B)」
「7.母体発熱下(38.0℃以上)では,母体敗血症などの監視を強めるとともに,胎児心拍数モニタリング(妊娠 26 週以降)を頻回に行う(CQ410
参照).(B)」
「8.妊娠 37 週未満では,抗菌薬を投与する.(B)」
「9.以下の場合が予想される場合には,児の肺成熟や頭蓋内出血予防を目的として,母体にベタメタゾン 12mg を 24 時間ごと,計 2 回,筋肉内投与する(CQ302
参照).
1)妊娠 24 週以降 34 週未満の早産が 1 週以内に予想される場合.(B)」
CQ407 羊水混濁時の対応は?
「1.破水後は羊水混濁の有無に注意する.(B)」
「2.羊水混濁を認めたら,
分娩監視装置を一定時間(20 分以上)装着して
胎児心拍数陣痛図を記録し,
胎児健常性を評価する(CQ410 参照).(B)」
「3.羊水混濁
を認めたとき,抗菌薬の投与は絨毛膜羊膜炎のリスクを軽減させる可能性があるが,出生後の児の予後には影響はないと認識して対応する.(B)」
「4.出生後の呼吸障害(新生児仮死や胎児吸便症候群の発生など)に注意する
が,口腔・咽頭および鼻腔。喉頭吸引はルーチンでは推奨されないとして対応する(B)」