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東京都新宿区 産科事故を扱う谷直樹法律事務所

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急速遂娩(吸引・鉗子分娩・予定帝王切開・緊急帝王切開)

急速遂娩(吸引・鉗子分娩・予定帝王切開・緊急帝王切開)

急速遂娩(吸引・鉗子分娩・予定帝王切開・緊急帝王切開)

産科医療事件のなかで最も多いのが、急速逐娩術に関するものです。
急速逐娩術には、器械分娩(吸引分娩、鉗子分娩)、帝王切開(予定帝王切開、緊急帝王切開)があります。

1 吸引分娩

吸引分娩とは、吸引分娩器を利用して胎児を急速に娩出させる方法です。
急速遂娩以外には実施しない、原則として吸引の手技に習熟した医師、または習熟した医師の指導下で実施することになっています。
吸引分娩による帽状腱膜下血腫等の事故防止のため、吸引娩出術にあたっては、産道方向に沿って一定の力で牽引し、前後左右に揺り動かしたり(rocking)、回転させたりする(torque)動きは危険であるとされています。

【適応】
医学的に吸引分娩の対象とされるのは、@胎児機能不全(nonreassuringfetalstatus)、A分娩第 2 期遷延または分娩第 2 期停止、B母体合併症(心疾患合併など)または著しい母体疲労のため、分娩第 2 期短縮が必要と判断された場合です。

* 分娩第 2 期遷延の基準は、一般に所要時間が初産婦で 2 時間以上、経産婦で 1 時間以上です。硬膜外麻酔等による無痛分娩では各々 3 時間以上、2 時間以上が 1 つの目安と考えられています。なお、現行ガイドラインの解説には「進行が遅延して第 2 期遷延が予想される場合には,吸引・鉗子分娩が選択されることもある.」との記述があります。「予想される場合」がどのような場合か明らかではなく、医師が単に予想しただけで適応が満たされるとすると不合理です。

【要約】
吸引分娩の要約は、@妊娠 34 週以降、A子宮口全開大かつ既破水、B児頭の嵌入、C総牽引時間20 分以内、総牽引回数5 回以内での娩出が期待できることです。

* 児頭の嵌入(engagement)は、児頭先進部が座骨棘の高さまで下降した状態(ステーション0)です。現行のガイドラインでは、吸引分娩は、鉗子分娩より高い位置から実施できることになっていますが、疑問です。
ガイドラインの解説には「より成功が見込める児頭位置(ステーション+2より下降)まで待つ,あるいは帝王切開術を行うことが望ましい.」と書かれています。ステーション+2を要約とすべきと考えます。

【鉗子分娩、帝王切開への変更】
総牽引時間が20 分を超える、または総牽引回数が 5 回を超える場合は、鉗子娩出術または帝王切開術を行う、とされています。
吸引・鉗子娩出術によっても児を娩出できない場合の緊急帝王切開は、可及的速やかに実施する、とされています。そのためには、あらかじめ、可及的速やかに緊急帝王切開を実施できる準備をしておくことが必要です。

「産婦人科診療ガイドライン 産科編 2023」の 「CQ406(213頁) 吸引・鉗子娩出術,子宮底圧迫法の適応と要約,および実施時の注意点は?」御参照


第2 鉗子分娩

第3 予定帝王切開

第4 緊急帝王切開




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