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東京都新宿区 産科事故を扱う谷直樹法律事務所

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帽状腱膜下血腫

帽状腱膜下血腫

弁護士谷直樹は、帽状腱膜下血腫の事案を担当し、裁判前の示談、裁判上の和解で解決したことがあります。

1 病態、頻度
帽状腱膜下血腫は、頭皮下の帽状腱膜と骨膜の間の血管の断裂によって生じる出血です。
出生後、数時間〜24時間すぎて、大量の出血のため頭部全体が腫脹し、顔面は蒼白となり、放置すると出血性ショックとなり死亡することも多い疾患です。
帽状腱膜下血腫は、出産全体では1万例に4例ですが、吸引分娩を実施した場合は1万例に59例で、発症頻度は約15倍になると報告されています。とくに不適切な吸引分を実施した場合は、発生頻度が高くなります。

2 産科婦人科診療ガイドライン―産科編2023

CQ406(213頁) 吸引・鉗子娩出術,子宮底圧迫法の適応と要約,および実施時の注意点は?
「2.吸引・鉗子娩出術および子宮底圧迫法は,急速遂娩以外には実施しない.(A)」

解説
「吸引娩出術により,児の帽状腱膜下血腫を生じることがある.産道方向に沿っての一定の力での牽引でなく,前後左右に揺り動かしたり(rocking),回転させたりする(torque)動きは危険である.」(215頁)

CQ802(366頁) 生後早期から退院までにおける正期産新生児に対する管理の注意点は?
「2.先天異常・分娩損傷・四肢麻痺・頭血腫などの有無を確認する.(B)」
解説
「特に,肩甲難産や吸引・鉗子分娩後には注意が必要である」(367頁)とされています。


3 産科医療補償制度
帽状腱膜下血腫は脳性麻痺を残す児より死亡する児のほうが多く、そのため産科医療補償にあがってくる例が少ないです。それでも、2012年に以下の提言がなされています。
(1)吸引分娩施行の判断を適切に行い、適正な方法で吸引分娩を行う
(2)吸引分娩施行中は、随時分娩方法の見直しを行う。
(3)クリステレル胎児圧出法の併用は、胎児の状態が悪化する可能性があることを認識する。
(4)吸引分娩により出生した児は、一定時間、注意深く観察する。

4 対策
吸引分娩は適応と要約を守り、発生リスクを少なくすることが大事です。
また、吸引分娩で出生した新生児の観察を怠らず、帽状腱膜下血腫の徴候があらわれたら、緊急搬送し、小児科医による治療を行う必要があります。

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