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東京都新宿区 産科事故を扱う谷直樹法律事務所

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母児間輸血症候群

母児間輸血症候群

弁護士谷直樹は、母児間輸血症候群(Fetomaternal hemorrhage FMH)の事案を高裁から取り扱い、和解で解決したことがあります。

1 病態、検査
母児間輸血症候群は、胎児血が胎盤を通して母体血に移行し、胎児貧血を来す疾患です。胎児貧血は、胎児心不全を引き起こし、胎児皮下浮腫、胎児胸腹水などの超音波所見が出現することがあります。神経学的後遺症、死産、新生児死亡などの重大な結果をもたらすことがあります。
多くは、胎動減少、消失が出現し、胎児心拍数陣痛図において異常波形(とくにサイナソイダルパターンや基線細変動の消失)を示します。
母体血液中の胎児ヘモグロビン、αフェトプロテイン(AFP)、および胎児の中大脳動脈血流速度は貧血の徴候を発見するために有用であるとされています。
MCA-PSV の計測して胎児貧血を推測し、疑わしいものには胎児採血が行われます。

2 産科医療補償
産科医療補償は、胎児管理について、次の提言を行っています(第6回報告書)。
「ア.胎動減少・消失を自覚したときは分娩機関に連絡するよう、妊婦健診において妊産婦へ情報提供する。
イ. 妊産婦が胎動減少・消失を訴えた際は、分娩監視装置の装着、超音波断層法(biophysical profile score(BPS)、羊水量計測、血流計測等)により胎児の健常性を確認する。
ウ. 院内の勉強会への参加や、院外の講習会への参加により、胎児心拍数陣痛図の判読と対応について習熟する。
エ. サイナソイダルパターンや基線細変動の消失等が認められる場合は、胎児貧血を発症している可能性があることも考慮に入れ、母体搬送、または急速遂娩、新生児蘇生・新生児管理の準備を行う。」

産科医療補償は、新生児管理について、次の提言を行っています(第6回報告書)。
「出生した児に循環血液量不足が疑われる際は、日本版新生児蘇生法(NCPR)ガイドライン2015 を参考にし、生理食塩水等の投与を考慮する。また、自施設で輸血等の実施が困難な場合の対応(新生児搬送、応援の要請等)について、各施設においてあらかじめ検討し、児を速やかに搬送できる体制を整備する。」


3 「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2023」
CQ007 「胎動回数減少」を主訴に受診した妊婦に対しては?

「1.胎児健常性(well-being)をNST や超音波検査等で評価する.(B)」
「2.胎動回数と胎児健康との関係について問われたら「関連ありとする研究報告がある」と答える.(C)」

「常位胎盤早期剥離で脳性麻痺になった症例についての後方視的検討調査において,胎動減少・消失が腹痛や出血に先行するかあるいは同時に起こる例が報告されている.胎動減少は早期剥離の自覚サインの一つである可能性がある(CQ308 参照)」


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